近年、井上尚弥選手、中谷潤人選手、寺地拳四朗選手など、日本人の世界王者たちが海外でも圧倒的な存在感を見せており、日本ボクシング界はかつてないほどの盛り上がりを見せています。
しかし、彼らがいきなり世界タイトルに挑戦できるわけではありません。多くの場合、その前段階として「地域タイトル」の獲得が重要なステップになります。
今回は、世界タイトル(WBA・WBC・WBO・IBF)に挑戦するための登竜門である以下の3つの地域タイトルについて、詳しく解説していきます。
地域タイトルとは? 各地域タイトルの特徴と違い
日本国内で世界4団体(WBA・WBC・WBO・IBF)のいずれかの世界タイトルに挑戦するためには、以下3つの地域タイトルのいずれかを獲得していることが原則条件とされています。
- 日本チャンピオン(JBC認定)
- OPBF東洋太平洋チャンピオン(WBC傘下)
- WBOアジアパシフィックチャンピオン(WBO傘下)
そのため、世界ランキングで上位にランクされていても、日本・OPBF・WBOアジアパシフィックのランキングにも同時にランクインしているという、少し不思議な状況が現在の日本ボクシング界には見られます。
これらの地域タイトルにはそれぞれ異なる特色があり、選手のキャリア形成や世界ランキングへの影響に大きく関わってきます。
日本チャンピオン(JBC認定)
- 主催団体:日本ボクシングコミッション(JBC)
<特徴>
- 日本国内で最も基本となるタイトルであり、多くの選手がここからキャリアをスタートします。
- 挑戦には「日本ランキング」へのランクインが必須で、ランキング管理が非常に厳格です。
- 日本ランキングに入るためには「全日本新人王になる」「日本ランカーに勝利する」といった明確な基準が存在します。
- 試合は10回戦(10ラウンド)で行われ、5R終了時点で途中採点が公開されます。
- 筆者としては、ランキングの信頼性の高さから最も権威のあるタイトルだと感じています。
OPBF東洋太平洋チャンピオン(WBC傘下)
- 主催団体:東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)
<特徴>
- WBC(世界ボクシング評議会)の傘下団体で、日本、韓国、フィリピン、オーストラリアなどが加盟。
- OPBF王者になることでWBC世界ランキング入りの可能性が高くなります。
- ただし、階級によっては世界ランキング15位以内に入らないケースもあります。
- 基本的にはOPBFランカーに勝利することでランキング入りが可能ですが、基準はやや不透明で、ランカーに勝ってもランクインしない例や、試合をしていなくとも突如ランクインする場面があります。
- 試合は12回戦(12ラウンド)で、日本開催の場合は4R・8R終了時に途中採点が公開されます。
WBOアジアパシフィックチャンピオン(WBO傘下)
- 主催団体:WBOアジアパシフィック
<特徴>
- WBO(世界ボクシング機構)の傘下で、このタイトルを獲得するとWBO世界ランキング15位以内に入り、世界挑戦のチャンスが広がります。
- 特に、日本人が世界挑戦を狙うのが難しいライト級以上では、WBOアジアパシフィックを優先して狙う傾向があります。
- 挑戦にはWBOアジアランキング入りが必要で、基本的にはランカーに勝つことが前提ですが、OPBFと同様に基準は曖昧な面があります。
- 空位タイトルの場合、1位vs2位などの王座決定戦が一般的ですが、11位vs14位で王座決定戦が行われるなど、王者の権威に疑問を感じる場面もあります。
- 基本的には12回戦ですが、10回戦で行われるケースもあり、明確なルールは不明瞭です。
まとめ
国内で世界挑戦を目指す場合、これらの地域タイトルの獲得はキャリアにおける大きなステップとなります。
一方、海外で世界タイトルに挑戦する選手にとっては、これらのタイトルは必須ではありません。
しかし、世界挑戦をする上で、地域タイトルの獲得は「興行価値」や「実力の証明」として大きな意味を持ちます。
これからボクシングを観る方も、地域タイトルの存在や違いを知っておくことで、
試合観戦がもっと楽しく、深く感じられるようになりますよ!
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