プロボクサーになる難易度について

ボクシング

プロボクサーには簡単になれるのか?

時々、芸能人がプロボクシングのライセンスを取得したというニュースを目にすることがある。

最近では横浜流星(俳優)がプロボクシングのライセンスを取得したという報道が記憶に新しい。

過去には、以下のような著名人もライセンスを取得している。

  • 片岡鶴太郎(俳優・タレント・画家)
  • ロバート山本(山本博)(お笑い芸人)
  • ISEKI(伊藤勇輝)(元キマグレン)

こう聞くと「プロボクサーってそんなに簡単になれるの?」と疑問に思う人もいるだろう。

実際に私もフルタイム勤務の会社員をしながらプロボクシングのライセンスを取得し、苦労しながらではあるがA級ライセンスに昇格し、日本ランキング入りを果たした経験がある。

継続して努力できればライセンス取得は難しくない

私の感覚としては、しっかりと練習を積み、やるべきことをこなせば、多くの人がライセンスを取得できると思う。

実際にプロテストに合格するだけなら、個人差はあるものの、週に2~3回の練習を継続すれば1年ほど、早い人なら半年ほどで十分に取得可能だと認識している。

ただし、ライセンス取得のために重要な要素がひとつある。それが「殴られる恐怖に打ち勝てるか?」ということだ。

日常生活で人に殴られることはまずない。初めてスパーリングをして本気で殴られたとき、人はどう感じるだろうか?

  • 怖い、逃げ出したい!
  • 痛い、殴られたくない!
  • 殴られたら、殴り返してやる!

人によって反応は異なるが、一般的には「怖い」「痛い」と感じる人が多いだろう。

私自身、これまで初めてスパーリングをする人を数多く見てきたが、多くの人は殴られると下を向いたり顔を背けたりしてしまう。

初めてのスパーリングで恐怖を感じ、ボクシングをやめてしまう人やプロボクサーを諦めてしまう人は決して少なくない。

ボクシングは相手を打ち倒す競技であり、一発殴られて痛いからといって休憩することはできない。

初めてのスパーリング後にどう感じるか?

  • もうやりたくない…
  • 楽しい!またやりたい!
  • 自分には〇〇が足りないから〇〇の練習をして再チャレンジだ!

このように、スパーリング後に「もう一度やりたい!」と思えるかどうかが、プロボクサーになれるかどうかの分かれ道になる。

そのため、最初のスパーリングの相手を務める人の役割は非常に重要である。

これからプロボクサーを目指す人へアドバイス

初めてのスパーリングは、同じくらいのレベルの選手同士でするのが良いと思うかもしれないが、これは非常に危険である。

なぜなら、初めてのスパーリングでうまくパンチに対応できる人は少なく、両者ともに非常に危ないタイミングでパンチを受けてしまうことが多く、想像以上に危険である

そのため、最初のスパーリングは「常識のある」格上の相手とするのが望ましい。

実力のある選手は手加減ができるため、危険なタイミングを避けつつ、相手に打たせたり軽く当てたりすることで、安心感を持ってスパーリングを行うことができる。

ただし、「常識のある」が重要なポイントである。初心者を必要以上に殴り倒して自分の強さを誇示するような相手は避けるべきだ。

ライセンス取得とプロボクサーとして試合をするのは別次元

プロライセンスを取得するのは難しくないが、実際に試合をするとなると話は変わってくる。

ライセンス取得に比べれば、試合ができる状態に持っていくのは容易ではない、勝ち星を挙げるとなればさらに一層大変である。

試合とプロテストの主な違いは以下の3つ。

  • 危険性
  • 試合とスパーリングの違い
  • 求められる体力(フィジカル・スタミナ)

プロテストでは14オンスのソフトグローブとヘッドギアを着用し、2ラウンドのスパーリングを行う。

一方、プロの試合では8オンスのグローブを使用し、ノーヘッドギアで最低4ラウンド戦う。

特に8オンスのグローブはクッションが少なく、パンチのダメージが大きいため、リング禍(試合中の重大事故や死亡事故)も発生している。

また、試合のラウンド数は最低4ラウンドだが、プロテストの2ラウンドと単純に2倍の体力があればいいというわけではない。

危険な環境での試合は想像以上に疲弊するため、ジムがある程度の実力を認めないと試合を組まないことが多い。

そのため、芸能人がプロライセンスを取得しても、実際に試合をする人が少ないのは想像できるだろう。

まとめ

プロボクシングのライセンス取得の難易度について、イメージはつかめただろうか?

この記事を読んでボクシングに興味を持った人、プロテストを受けようか迷っている人の判断材料になれば嬉しい。

ちなみに、私がプロボクサーになった理由についても別の記事で書いているので、興味があればぜひ読んでみてほしい。

① ボクシングとの出会い――怖さから憧れへ

② 副業プロボクサーになった理由

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