プロボクサー 引退後のセカンドキャリアと現役時の仕事について

ボクシング

こんにちは。まず簡単に自己紹介させてください。

私はフルタイム勤務の会社員をしながらプロボクサーとして活動し、A級ライセンスを取得、日本ランキング入りを果たしました。今回はそんな経験をもとに、現役時の働き方や引退後のセカンドキャリアについてお話しします。


ほとんどの選手がプロボクサーだけで食べていくのは難しい

プロボクサーの多くは、ファイトマネーだけで生活していくことが難しいのが現実です。

以下が、だいたいのファイトマネーの目安です。

  • C級(4回戦):約6万円
  • B級(6回戦):約10万円
  • A級(8回戦以上):約15〜20万円

※ここから約33%のマネージメント料が引かれます。


仮にA級の選手が毎月試合をしたとしても、年収は約220万円。

しかし、実際には2〜3ヶ月に1回の試合でもかなりハイペース。加えて、家賃・食費・光熱費・ジム会費・サプリメント・練習道具など出費も多く、一人暮らしだとかなり厳しい金額です。

そのため、ほとんどの選手がアルバイトや別の仕事を掛け持ちしているのが現状です。


アルバイトで得られる収入の一例

  • 時給:1,200円
  • 労働時間:1日5時間 × 月20日

→ 月収:約12万円
これにファイトマネーを加えて、ギリギリ生活ができるかどうか、というレベルです。


一方で、チケットを多く売れる選手はファイトマネーの他にチケットバックでの収益も期待できます。

仮に1枚3,000円の利益として、200枚売れた場合、
3,000円 × 200枚 = 60万円

これだけの収益があればそれなりの収入になりますが、それでもケガや試合の中止などのリスクを考えると、安定した生活とは言い難いのです。


チャンピオンになれるのはほんの一握り

世界チャンピオンになって成功するボクサーは、ごく一部。

日本や地域のタイトルを獲得できる選手も少なく、獲得できたとしても引退後に働かずに済むほど稼げるか?と言えば難しいのが現実です。

実家が家業をしているなど、将来の生活にある程度目途が立っている場合を除けば、多くの選手は「この先どうしよう?」と不安を抱えながら現役生活を送っているのではないでしょうか?

特に4回戦・6回戦でなかなか結果が出せない場合、自分の将来に見切りをつけざるを得ない場面も訪れるかもしれません。


引退後の不安なくプロボクサーを続けるには?

実家が太ければ不安は少ないかもしれませんが、そうではない選手も多いはず。

そこで私が提案したいのが、**「正社員として働きながらプロボクサーを続ける」**というスタイルです。

もちろん、アルバイトに比べて正社員は責任も重く、残業が多い会社では練習時間の確保が難しいでしょう。

ですが、残業が少ない会社であれば練習時間も確保でき、収入も安定します。そして引退後は、その会社に残ることも、スキルを活かして転職や独立も可能になります。

社会的信用の面でも、やはり正社員という立場は大きな武器です。

(※ただし、ボクシングをしていることで会社に迷惑をかけないことが大前提です)


正社員として働きながらプロボクサーをしていた私の体験談

私はもともと「世界チャンピオンを目指している!」というタイプではありませんでした。

どちらかというと、「この試合が終わったら引退しよう!!」と毎回思いながら続けていたタイプです(笑)

なぜかというと、単純にボクシングがしんどかったからです。

  • 試合が近づくと緊張や恐怖が増す
  • 「殴られるの怖いな…」
  • 「何もできずに負けたらどうしよう?」
  • 「網膜剥離や脳へのダメージがあったら…」

試合前は、逃げ出したくなるほどの恐怖がありました。

でも、リングでの勝ち名乗りは、何物にも代えがたい喜びです。

「もう1試合だけ…」
そう思わせてくれる、ものすごい達成感がそこにありました。


正社員をしながらプロボクサーを続けるメリットとデメリット

メリット

  • 安定した収入で将来の不安が軽減される
  • 引退後もその会社に残ることができる
  • 本業に対しても「定時で上がりたい」というモチベーションで本気になれる
  • 社会的信用が高い

私自身、練習時間を確保するために「定時で帰る」必要があったので、効率化やスキルアップにも本気で取り組みました。

結果として、会社からの評価も上がりましたし、自分自身の成長にも繋がりました。


デメリット

  • 体力的には非常にハード(8時間労働+練習)
  • 年齢を重ねるほど、疲労の回復にも時間がかかる
  • ボクシングだけしている選手と比べ、練習の量・質の低下が懸念される
  • 試合のスケジュール調整が難しい(有給休暇の取りやすさも重要)

特に30代に差し掛かると、回復やケアの時間がますます重要になってきます


まとめ

この記事では、「正社員として働きながらプロボクサーを続ける」という選択肢について紹介しました。

もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。

正社員でなくても引退後に素晴らしいキャリアを築いている方もたくさんいます。

それでも、将来の不安を抱えながらもプロボクシングに挑戦したい方へ、ひとつの参考になればと思います。

「正社員をしながらプロボクサーを続けるのも、アリだな」と思っていただけたら嬉しいです。


最後に

私の知っている「正社員をしながらタイトルを獲得した選手」を紹介します。

  • 阿部 麗也 選手(元IBFフェザー級1位、元日本&WBOアジアパシフィック王者)
  • 佐川 遼 選手(元日本フェザー級王者)

他にもたくさんいるはずです。参考までに。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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